[テモゾロミド[抗がん剤の一つ]投与中のヒト神経膠芽腫U87細胞に対する超低周波電磁界(100 Hz、100 G)ばく露のインパクト] med./bio.

Impact of extremely low-frequency electromagnetic field (100 Hz, 100 G) exposure on human glioblastoma U87 cells during Temozolomide administration

掲載誌: Electromagn Biol Med 2019; 38 (3): 198-209

多形性膠芽腫(GBM)は悪性度の高い脳腫瘍の一つで、予後が非常に悪く、生存期間の中央値は12か月である。テモゾロミド(TMZ)はがん治療に広く用いられているアルキル化剤の一つであるが、この薬剤への抵抗性がしばしば認められている。この抵抗性を克服するための未解明の可能性の一つに、電磁界とTMZへの同時ばく露に基づく治療がある。実際に、電磁界がん細胞薬剤の効能に影響することを示す多くの証拠がある。この研究は、ヒト神経膠芽腫細胞株U87に対する100 µMのTMZと磁界(100 Hz、100 G)の潜在的相乗効果を、4つの実験群(I. 対照群、II. 磁界ばく露群、III. TMZ投与群、IV. 磁界ばく露+TMZ投与群)で調べた。Nestin、CD133、Notch4及びGFAP等の遺伝子の伝令リボ核酸mRNA)の発現を、リアルタイムPCR及びウェスタンブロットで調べた。また、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性、マロンジアルデヒドMDA)及びカルシウム濃度を、酵素結合免疫吸着法(ELISA)で調べた。その結果、磁界+TMZ群ではNestin、CD133及びNotch4の発現が相乗的に減少し、GFAPの発現が増加した。また、対照群と比較して、SOD活性、MDA及びCa2+濃度の増加も認められた。TMZは細胞死誘導だけでなく、がん細胞の分化誘導も通じて、がんのプログレッションを防止するが、これらのデータは、ELF磁界(100 Hz、100 G)はヒト神経膠芽腫細胞U87に対するTMZの効果を有意に増強し得ることを示している、と著者らは結論付けている。

ばく露