疫学研究では、電力線からの超低周波(ELF)電磁界や携帯電話の無線周波(RF)電磁界へのヒトのばく露が悪性腫瘍の発症リスク上昇を生じることが示唆されているが、疫学の証拠を支持する十分な実験データ、特に長期的な発がんバイオアッセイはない。このため、著者らの所属機関[Ramazzini Institute]による最初の4プロジェクトで、7000匹のSDラットを自然死まで生涯にわたって正弦波50 Hz磁界に単独ばく露、あるいはガンマ線、ホルムアルデヒド、アフラトキシンB1に共ばく露した大規模発がんバイオアッセイを実施した。これらの研究結果から、正弦波50 Hz磁界と、ガンマ線への急性被ばく、またはホルムアルデヒドの飲用水への慢性投与との組合せは、雌雄における悪性腫瘍の発生率の有意な上昇を生じることが示された。第2のプロジェクトは、2つの大規模発がんアッセイで、3000匹のSDラットを自然死まで生涯にわたって1.8 GHzのGSM携帯電話基地局電波に単独ばく露、またはガンマ線への急性被ばくと組合せた。1.8 GHzへの単独ばく露についての初期の結果からは、最も高いばく露レベルの雄の心臓で、悪性神経鞘腫の発生率の有意な上昇が認められた、と著者らは報告している。
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