先行研究で、無線周波(RF)電磁界への個人のばく露が特徴付けられているが、それでも心配な人々は心因性疾患(「ノセボ」効果)に苛まれている。個人ばく露の測定結果を集団で共有することが、より良い理解と、公衆衛生の促進につながるかも知れないことから、この研究は、スペイン南東部のアルバセテ(住民16.6万人)における環境中のRF電磁界への個人ばく露を特徴付けると共に、その結果を共有することが参加者のリスク認知に及ぼす影響を評価した。75人のボランティアが、14の微小環境(例:自宅、屋外、職場、等)でSatimo EME SPY 140ばく露メータを用いて10秒毎に24時間の測定を実施した。この研究に参加後、35人の参加者が、自身のRF電磁界のリスク認知についてのアンケートに回答した。このアンケートには比較対照の36人も回答し、両者の結果を比較した。その結果、14の周波数帯の平均ばく露は合計で37.7 μW/m^2(個人差は0.2 μW/m^2の範囲)で、最大値はDECT規格コードレス電話の264.7 μW/m^2であった。金曜日に測定した平均値は53.9 μW/m^2であったのに対し、土曜日は23.4 μW/m^2であった。夜間の値は27.5 μW/m^2であったのに対し、日中の値は43.8 μW/m^2であった。個人ばく露の平均値にも、週末(39.7 μW/m^2)と平日(26.9 μW/m^2)で差が認められた。個人ばく露の平均値の合計に主に寄与していた発生源は、DECT規格コードレス電話(50.2%)、携帯電話(18.4%)、Wi-Fi(12.5%)、携帯電話基地局(11.0%:GSM、DCS及びUMTS)であった。分析した微小環境のうち、自宅及び職場での平均ばく露はそれぞれ34.3 μW/m^2及び55.2 μW/m^2であった。屋外での平均値は34.2 μW/m^2で、主な発生源は場所によってDECT、Wi-Fi及び携帯電話基地局であった。リスク認知の分析では、参加者の54%が、調査への参加前よりも参加後でRF電磁界をより危険でないと認知したが、43%は認知に変化はないと回答した。あるかも知れないRF電磁界のリスクを1-5段階(5が最もリスクが大きいと認知)で4以上と評価したのは、測定調査後に自身の測定値についての情報を受け取った参加者では僅か9%であったのに対し、測定調査に参加しなかった対照群では39%であった。RF電磁界への個人ばく露は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が推奨する限度値よりも大幅に低かった。測定結果の共有は、参加者のリスク認知を低下させる、と著者らは結論付けている。
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