この研究は、シンクロトロン光源を用いて発生させた0.3-19.5*10^12 Hz[10^12 Hz = 1 THz]の電磁放射を用いて、テラヘルツ放射に対するPC12ニューロン様褐色細胞腫細胞の応答を調べた。その結果、25.2 ± 0.4 °Cでのテラヘルツ放射への10分間のばく露は、細胞膜の透過性の一時的な上昇を生じるのに十分であった。高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)で、シリカナノ球(d = 23.5 ± 0.2 nm)とそのクラスター(d = 63 nm)のPC12細胞へのトランスロケーションの可視化を通じて、細胞膜の透過性を確認した。走査型電子顕微鏡では、テラヘルツ放射にばく露したPC12細胞の表面で、異常に大きい(最大1 µm)泡の形成が認められた。長期的な分析では、テラヘルツ放射にばく露したPC12細胞とばく露しなかった細胞の代謝活性に有意差は認められなかったが、ばく露群では、神経突起のより長い延伸(最大0-20 µm)により、神経成長因子(NGF)に応答したPC12細胞の数が増加した。テラヘルツ放射は細胞がアポトーシス、ネクローシスまたは生理学的損傷なしにナノ粒子を取り込むのを促進し得ることから、これらの知見は、ナノ粒子を解した薬物送達及び遺伝子治療戦略の発展への意味合いを示しており、また、より高い周波数の電磁放射への細胞の環境ばく露の生物学的影響についてのより深い基礎的洞察を提示するものである、と著者らは結論付けている。
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