[ヒトの動脈におけるMRIと血流:悪影響はあるか?] tech./dosim.

MRI and Blood Flow in Human Arteries: Are There Any Adverse Effects?

掲載誌: Cardiovasc Eng Technol 2019; 10 (2): 242-256

この研究は、磁気共鳴画像撮影(MRI)における高強度または超高強度の磁界へのばく露がヒトの血流に悪影響を及ぼすかどうかを、ヒトの四大動脈での血流速度及び医学的に有意な血液動態パラメータ(壁せん断応力、振動せん断指数、相対滞留時間等)を定量的・定性的に調査することで調べた。動脈中の血流を、硬質の多孔壁を有する均一円管を通じた流れで近似した。その結果、3 Tまでの磁界ばく露では、肺動脈における血流速度及び相対滞留時間における認識可能な変化を除いて、いずれの動脈でも上述のパラメータに有意な変化は認められなかった。8 Tを超える磁界ばく露では、肺動脈における上述のパラメータに非常に有意な変化が認められた。低い壁せん断応力と高い振動せん断指数が共存するという一般的な仮説は支持されなかった。これらの結果は、ヒトを超高強度のMRIにばく露する前に、その臨床的影響を慎重に考慮する必要があることを示唆するものである、と著者らは結論付けている。また、文献において矛盾する報告が認められる動物実験の結果に基づいて、ヒトの血流に対する磁界の影響を結論付けることは適切ではないであろう、と述べている。

ばく露