実際のばく露レベルにかかわらず、電磁界の高いリスク認知は健康影響を生じ得ることから、一般公衆の認知の背後にある機序を理解することが重要である。この研究は、INMA(環境と子ども)コホートの母親における、ばく露と健康リスクの両方の認知を評価すること、そのような認知を説明し得る決定因子を探究すること、ばく露レベルについての情報提供が認知に影響を及ぼすかどうかを評価すること、を目的とした。全体で母親387人が、超低周波(ELF)及び無線周波(RF)電磁界の認知上のばく露と認知上の健康リスクについての4つの質問からなるアンケートに、1-10ポイントのリッカート型スケールで回答した。その後、参加者104人のサブサンプルの住居で、ELF及びRF電磁界の測定を実施し、これを当該家族に送付した個別の報告で説明した。測定結果を読んだ後に、母親は前述のアンケートに再度回答し、加えてリスクコミュニケーションにおける公衆衛生機関の役割に関する2つの追加的な質問にも回答した。カテゴリー変数としての認知上のばく露レベルと測定されたレベルとの関連を、カイ二乗検定で評価した。認知上のばく露と健康リスク認知に関する各々の質問について多重線形回帰を実施した。Wilcoxon符号順位検定を実施して情報受理の効果を評価した。その結果、ばく露と健康リスクは両方とも、ELFとRFの両方で非常に高く認知されており、平均値及び中央値は10ポイントスケールで7であった。高い認知レベルの報告は、自宅で測定された高いばく露レベルとは関連していなかった。高い認知に繰り返し関連付けられた変数には、肉体労働の社会階級、近隣に恵まれないところに住んでいると感じること、経済的困難、600 m以内にTVアンテナがないこと、若いこと、自宅にあるデバイスが少ないこと、が含まれた。自宅の電磁界ばく露レベルについての情報提供は、健康リスク認知を変化させなかったが、認知上のRFばく露の平均値は有意に低下した(0.7ポイント)。大半の参加者は、公的機関から電磁界のばく露及び健康リスクに関する情報を全く、あるいは十分には受け取っていないと主張し、そうした情報提供は非常に重要で、自分たちに情報提供すべきであると考えていた、と著者らは報告している。
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