国際的なガイドライン/規格では、3または10 GHzまでの周波数における人体表面の過剰な温度上昇を防護するための尺度として、比吸収率(SAR)が用いられている。この遷移周波数以上では、第5世代(5G)ワイヤレス通信システムに割り当てられている周波数領域を含めて、人体表面に対する透過電力密度(TPD)の面積平均値が、ばく露制限を特定する物理量として用いられている。但し、透過電力密度は外部の物理量であり、これは皮膚表面での反射係数及び組織中へのエネルギー透過深度における周波数依存性のばらつきに帰結される周波数依存性の温度上昇を生じる。この論文では、遷移周波数以上での定常状態の皮膚温度上昇を推定するための新たな尺度としての皮膚でのTPDの有効性を、計算により考察した。また、一様な、及びガウスビームのパターンについて単純化したモデル、ならびに、数値的解法と良好に一致する1次元モデルについての生体熱方程式の分析的解法を検討した。その結果、TPDはミリ波帯(30-300 GHz)を通じた皮膚温度上昇の良好な推定と、10GHzまでの合理的で保守的な推定を提示する一方、SARは3 GHz以下での良い尺度であることが示された。ダイポール及びパッチアンテナアレイについての計算の結果、4cm^2(2 cm平方)の面積で平均化したTPDとの比較で、1次元分析は保守的な尺度であることが示された。極端な事例を考察すると、直径が小さいビームばく露については30 GHz以上で4 cm^2以下の平均化面積が必要となる。最後に、小さなビームに対するピーク温度上昇に関連した平均化面積の選択を考察した。ばく露面積が極端に小さい場合、ピーク電力密度についての限度が必要となるかもしれない、と著者らは述べている。
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