研究のタイプ: 疫学研究

[デンマーク、フィンランド及びスウェーデンにおける携帯電話使用に関連した神経膠腫患者の生存率] epidem.

Survival of glioma patients in relation to mobile phone use in Denmark, Finland and Sweden

掲載誌: J Neurooncol 2019; 141 (1): 139-149

神経膠腫は最も一般的な脳のがんで、神経膠芽腫では特に予後不良である。2014年の先行研究では、神経膠芽腫の患者における生存率の低下と携帯電話の使用期間との関連が示唆されている。腫瘍の発生と進行に対する無線周波RF電磁界の影響を調べるため、疫学/実験研究の共同プロジェクトが開始された。この論文に示された分析はその疫学のパートに関するもので、診断前の携帯電話使用が神経膠腫の患者の生存率と関連しているかどうかを扱っている。デンマーク、フィンランド、スウェーデンにおける人口集団ベースの症例対照研究に以前参加した神経膠腫の症例(n = 806)を追跡して生存率を調べた。各国の個人IDとがん登録リンケージに基づき、生存状態、死亡日、出入国日、または生存していることが最後に確認された日を入手した。Cox回帰モデルを用いて、国別に階層化したハザード比(HR)及び95%信頼区間(CI)を計算した。共変数として、性別、年齢、学歴、がん組織学治療解剖学的部位、婚姻状態を調べた。その結果、神経膠芽腫の患者には、携帯電話使用の幾つかの指標(定常的使用の有無、定常的使用の開始からの期間、全体または過去12か月間の累積通話時間)について、非ユーザーまたは非定常的ユーザーとの比較で、生存率の低下の徴候は認められなかった。全ての有意な関連は、携帯電話ユーザーは生存率が高いことを示唆していた。高悪性度及び低悪性度の神経膠腫で結果は同様であった。過去の携帯電話使用に関連した神経膠腫の患者の生存率低下の証拠は認められなかった、と著者らは結論付けている。

ばく露