無線周波(RF)電磁界への人体ばく露に対する国際ガイドラインでは、組織10gあたり6分間平均の比吸収率(SAR)が過大な局所温度上昇を防ぐための物理量として用いられている。RFエネルギー吸収の結果として生じる温度上昇による健康への潜在的悪影響を避けるため、SAR限度が制定されている。国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のRFガイドライン改定版の意見聴取用草案(2018年7月10日発表)では、短時間ばく露(6分間未満)からの加熱を避けるため、比吸収量(SA)限度が策定された。但し、先行研究では、連続波に対する6分間ばく露のSAR制限に相当するエネルギーの単発/複数パルスによる温度上昇は評価されていない。この研究は、短時間パルスばく露による温度上昇を、生体熱計算に基づいて計算した。まず、職業的ばく露に相当するSAのパルスに対する温度上昇のピークが、時間的に一様な連続波ばく露に対する定常状態の温度上昇を超えることを確認した。次に、RFパルスへの短時間ばく露の時間に依存する回帰曲線からSA限度を提案した。複数パルスばく露に対する多層構造の立方体及び解剖学的人体モデルにおける温度上昇も計算した。その結果、この公式を満たす複数パルスから生じる温度上昇は、関連する閾値レベルよりも低いことが示された。この回帰曲線に基づくSAを、6分間未満の様々なばく露シナリオに対する過大な温度上昇を避けるための尺度として用いることができる、と著者らは結論付けている。
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