電磁界からの人体防護のための国際ガイドライン/規格では、無線周波電磁界ばく露に対する尺度として比吸収率(SAR)が用いられている。近傍界ばく露については、組織10 g平均のSARのピーク値が、3-10 GHzまでの周波数に対する局所温度上昇の代用尺度として扱われている。10 g SARの限度値は、動物実験における熱的損傷の外挿によって導出されているが、小動物とヒトにおける局所ばく露に対する温度上昇の時定数の違いについて考察した報告はない。この研究は、3-10 GHzでダイポールアンテナにばく露したヒト頭部及びラットのモデルにおいて、温度上昇の時定数を計算によって推定した。その結果、ヒトの脳におけるピーク温度上昇はラットのモデルよりも低く、これは主に頭皮からの深度の違いによるものであった。結果として、ラットの脳の温度時定数はヒトの脳よりも小さかった。加えて、ヒトの皮膚の温度時定数は周波数が高くなるにつれて低下した。これは主に、有効SAR体積によって特徴付けられるが、これはヒトの脳ではほぼ周波数依存的である。これらの知見は、動物実験からヒトへの外挿に有益である、と著者らは結論付けている。
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