先天性難聴の子どもや後天性難聴の成人に広く使われている人工内耳では、音声信号を伝達するサウンドプロセッサアンテナが携帯電話と同様の無線周波(RF)電磁界を発する。最近の症例報告では、人工内耳と悪性神経膠腫との関連が示唆されており、一部の疫学研究では神経膠腫及び聴神経鞘腫のリスク上昇と携帯電話の長時間使用との関連が示唆されている。この研究は、慢性的なRF信号が脳腫瘍のリスク上昇と関連しているかどうかを調べるため、スウェーデンにおいて人工内耳を装着した患者2748人についての人口集団ベースのコホート研究を1989-2014年に実施した。コホート全体で合計3169件の手術が行われた。このコホートにおける神経膠腫、髄膜腫、聴神経鞘腫の発生数の期待値を、スウェーデン国民における特定発生率を用いて計算した。その結果、フォローアップ中に脳腫瘍の症例が4件診断され、そのうち3件が髄膜腫(期待値は0.95(標準化発生率(SIR)= 3.16、95%信頼区間(CI)= 0.65-9.24))、1件が神経膠腫(期待値は1.34(SIR = 0.75、95% CI = 0.02-4.15))であった。聴神経鞘腫の症例は認められず、期待値は0.09であった。この研究では、神経膠腫の潜在的に高いリスクに関する、先行症例報告で提起された懸念への支持は認められなかった。観察された脳腫瘍の症例数は全国の発生率から予想される数の範囲内であった、と著者らは結論付けている。
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