活性酸素種(ROS)によって活性化される低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)は、ニューロン様細胞におけるマイクロ波への防護的応答に重要な役割を担っている。この研究は、ニューロンのミトコンドリアに修復可能な障害(ROS産生及びシトクロムCオキシダーゼ活性等)を生じ得る、30 mW/cm^2のマイクロ波にばく露した動物モデルを構築した。これを用いて、シトクロムCオキシダーゼサブユニットIV(COXIV)の2つのアイソフォームであるCOXIV-1とCOXIV-2の比率が、1日目には低下し、3-14日目には上昇することが示された。HIF-1αの発現の同様の変化から、COXIV-1及びCOXIV-2がHIF-1αによって調整され得ることが示唆された。ニューロン様細胞では、30 mW/cm^2のマイクロ波への30分から6時間のばく露により、COX活性が下方制御され、その後回復し始めた。また、HIF-1α転写活性ならびにCOXIV-1/COXIV-2の比率は、ばく露の6-9時間後に上方制御された。更に、HIF-1αはCOXIV-1の発現を下方制御し、ROS産生を促進し、ミトコンドリア膜電位(MMP)を低下させ、マイクロ波によるアデノシン三リン酸(ATP)産生を阻害した。マイクロ波によるミトコンドリアのROS産生はHIF-1αを活性化させ、COXIV-1発現を制御し、ミトコンドリアの機能を回復させる、と著者らは結論付けている。また、HIF-1αはマイクロ波による傷害を防ぐための潜在的な標的である可能性がある、としている。
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