モルヒネはがんにおける鎮痛薬として広く用いられており、また化学療法との組合せは標的でない細胞に対するDNA損傷作用を有することが知られている。この研究は、DNA修復経路に関与する遺伝子の発現に対する、モルヒネと50 Hz電磁界との組合せ、ならびに、モルヒネと電磁界との組合せにシスプラチンを同時処理した場合の影響を調べた。MCF-7及びSH-SY5Y細胞を5.0 µMのモルヒネで処理後、15分間オン・15分間オフの間欠パターンの0.50 mT、50 Hz磁界にばく露した。遺伝子発現、シスプラチン及びブレオマイシンの細胞毒性を、リアルタイムPCR及びMTTアッセイで測定した。その結果、モルヒネ処理群では、調査対象の遺伝子の有意な下方制御が見られたが、モルヒネ+磁界処理群では、遺伝子に有意な変化は認められなかった。シスプラチンのIC50はどちらの細胞株でも、モルヒネ処理群よりモルヒネ+磁界処理群で有意に上昇した。シスプラチンとモルヒネ+磁界の同時処理では、非相同末端結合(NHEJ)関連遺伝子は有意に減少し、SH-SY5Yにおけるブレオマイシンの細胞毒性を高めたが、MCF-7では高めなかった。これらのデータは、二本差切断薬の局所投与と合わせた、シスプラチンとモルヒネ+磁界処理の組合せが、細胞株に特異的な感作を生じる上で有望であることを示すものである、と著者らは結論付けている。
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