ある種の磁界には潜在的な治療上の抗腫瘍作用があるが、その根底にある作用機序は定義されていない。この研究では、静磁界と50 Hzの超低周波(ELF)磁界の重ね合わせにより発生させた、合計の時間平均強度が5.1 mTの磁界を、二つの一般的な小児悪性腫瘍である腎芽細胞腫及び神経芽細胞腫に適用した。その結果、G401、CHLA255、N2aを含む腎芽細胞腫及び神経芽細胞腫の細胞株では、2時間/日の磁界ばく露後、2日後に細胞の生存能力が有意に低下した。3日後、これらの細胞株で17-22%の阻害率が得られた。更に、阻害率はばく露時間と正に関連していた。他方、時間平均強度5.1 mTを維持して、静磁界のみを用いた場合、阻害率は低下した。ゆえに、時間とELF磁界との組合せの両方が、磁界の阻害作用と正に関連していた。磁界ばく露は細胞増殖を減少させ、アポトーシスを増加させた。磁界と化学療法薬のシスプラチンとの組合せを、イン・ビトロとイン・ビボの両方で実施した。細胞株では、シスプラチンまたは磁界それぞれの単独使用と比較して、組合せ処理は阻害率を更に上昇させた。G401腎芽細胞腫モデルのヌードマウスでは、磁界とシスプラチンの組合せは腫瘍質量の有意な減少を生じ、副作用は軽度の肝障害に限定された。磁界ばく露自体は肝臓または腎臓の機能を阻害しなかった、と著者らは報告している。
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