環境因子へのばく露と小児白血病についての研究では通常、居住地の移動性は考慮されていないが、これは潜在的リスク因子であることに加えて、選択バイアス、交絡、測定誤差を生じ得る。この研究は、カリフォルニア州電力線研究(CAPS)で収集したデータを用いて、居住地の移動性の影響の解明を試みた。同州で生まれ、1988-2008年に診断された症例、及び出生証明書で同定した対照を用いた小児白血病についての人口集団ベースの症例対照研究からのデータを分析した。層別ロジスティック回帰、ケースオンリー分析、傾向性スコア調整を用いて、出生時と診断時の間の居住地の移動性の予測因子を評価し、居住地の移動性による潜在的な交絡を考慮した。その結果、転居した子どもは年齢が高く、戸建ではない住居に住み、母親が若く、兄弟姉妹が少なく、社会経済状態が低い傾向にあった。転居しなかった子どもの白血病のオッズ比(OR)は、200 kV以上の電力線から<50 mでの居住(OR = 1.62、95% CI = 0.72-3.65)、及び磁束密度の測定値が≥ 0.4 μT(OR = 1.71、95% CI = 0.65-4.52)での居住について、先行研究で報告された全体的な結果よりも僅かに高かった。居住地の移動性についての全ての予測因子(住居の種類を含む)に基づく傾向性スコアについて調整したところ、200 kV以上の電力線から<50 mでの居住(OR = 2.61、95% CI = 1.76-3.86)、及び磁束密度の測定値が≥ 0.4 μT(OR = 1.98、95% CI = 1.11-3.52)での居住について、白血病のORが上昇した。住居の種類を除く全ての予測因子について、傾向性スコアを調整しても、小児白血病に対する電力線ばく露のOR推定値に本質的な違いはなかった。小児白血病の症例の居住地の移動性は、複数の社会人口統計学的特徴によって異なるが、最も近い電力線までの距離または磁界測定値による違いはなかった。居住地の移動性は、小児白血病と電力線ばく露との間に観察されている関連性を説明できそうにない、と著者らは結論付けている。
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