この研究は、1.8 GHz、200 V/mの無線周波(RF)電磁界に反射箱内で1-20時間ばく露したヒト末梢血リンパ単球における生化学的/生物学的改変の発生を調べた。細胞の形態学的分析では、一部において、ばく露後に形状の拡大と変形が見られた。ばく露群の細胞核のラマンスペクトルでは、主にDNAバックボーン結合振動モードの低減で構成される生化学的改変の開始が明らかになった。無傷のリンパ単球のミトコンドリア活性の呼吸計測では、20時間のばく露後の安静時の酸素消費率が上昇し、これにはFoF1-ATP合成酵素関連の酸素消費の有意な増加が伴った。特に、電磁界ばく露の間隔(5及び12時間)が短いと、陽子漏洩に関連する呼吸の大幅な増加が認められたが、これは20時間のばく露後に対照のレベルに復帰した。ミトコンドリア膜電位の共焦点顕微鏡分析では、この呼吸活動が支持されたが、ばく露群のリンパ単球ではミトコンドリアの質量/形状の有意な変動は認められなかった。更に、ばく露群のリンパ単球では酸化還元の恒常性が示され、これは有核細胞サブセットでは進行が異なっていた。この結果は、電磁界ばく露によって生じる酸化的リン酸化系の早期の損傷を補うための、酸化還元シグナル伝達を介した適応メカニズムの発生を示唆している、と著者らは結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。