[ハンドヘルド無線電話からのRF電磁界への人体ばく露を模擬したラット頭部ばく露システムの開発] tech./dosim.

Development of a rat head exposure system for simulating human exposure to RF fields from handheld wireless telephones

掲載誌: Bioelectromagnetics 1999; 20 Suppl 4: 75-92

この研究は、携帯電話からの無線周波RF電磁界の生体影響の研究のため、人体の脳へのばく露レベルと同等の電磁界エネルギー吸収動物に与えるような動物ばく露システムを開発した。まずFDTD法により、楕円体ラットモデルで、モデルからさまざまな距離に置いたさまざまなサイズのループアンテナからのばく露によるラットモデル内の比吸収率SAR)分布を数値計算した。その結果、3 cm×1 cm長方形ループアンテナにより生成されるSAR分布が適切と判断された。次に、CT画像ピクセルのHounsfield単位を生体組織誘電定数・密度にカーブフィッティングして作成したラットのCT画像ベース数値モデルを開発した。また、エネルギー結合とインピーダンス整合を最適化して、高電力レベルで動作可能なループアンテナを設計した。完成したばく露装置(3 cm×1 cm長方形ループアンテナ、周波数は837または1957 MHz)でSDラットばく露を行い、SAR分布をサーモグラフで確認すると共に、拘束されたラットの脳内各点のSARを光ファイバー温度測定により決定した。以上の結果、さまざまなばく露条件での計算値と測定値は全般的に一致した;FDTD計算した脳平均SARおよび全身吸収量に対する頭部吸収量の比率は、837MHzで23.8W/kg/Wおよび62%、1957MHzで22.6W/kg/Wおよび89%だった;脳平均SARと全身平均SARとの比率は両方の周波数において20:1であった;837MHzでは、拘束されたラットの脳で測定されたSARの最大値は、小脳で51W/kg/W、大脳頂点で40W/kg/Wだった;したがって、アンテナ入力電力0.2 Wで、300gの中型サイズのラットの脳にSARの最大値10W/ kg、脳平均SAR 4.8W/ kgが実現できる、と報告している。

ばく露