この研究は、携帯電話からの無線周波(RF)電磁界の生体影響の研究のため、人体の脳へのばく露レベルと同等の電磁界エネルギー吸収を動物に与えるような動物ばく露システムを開発した。まずFDTD法により、楕円体ラットモデルで、モデルからさまざまな距離に置いたさまざまなサイズのループアンテナからのばく露によるラットモデル内の比吸収率(SAR)分布を数値計算した。その結果、3 cm×1 cm長方形ループアンテナにより生成されるSAR分布が適切と判断された。次に、CT画像ピクセルのHounsfield単位を生体組織の誘電定数・密度にカーブフィッティングして作成したラットのCT画像ベース数値モデルを開発した。また、エネルギー結合とインピーダンス整合を最適化して、高電力レベルで動作可能なループアンテナを設計した。完成したばく露装置(3 cm×1 cm長方形ループアンテナ、周波数は837または1957 MHz)でSDラットにばく露を行い、SAR分布をサーモグラフで確認すると共に、拘束されたラットの脳内各点のSARを光ファイバー温度測定により決定した。以上の結果、さまざまなばく露条件での計算値と測定値は全般的に一致した;FDTD計算した脳平均SARおよび全身吸収量に対する頭部吸収量の比率は、837MHzで23.8W/kg/Wおよび62%、1957MHzで22.6W/kg/Wおよび89%だった;脳平均SARと全身平均SARとの比率は両方の周波数において20:1であった;837MHzでは、拘束されたラットの脳で測定されたSARの最大値は、小脳で51W/kg/W、大脳頂点で40W/kg/Wだった;したがって、アンテナ入力電力0.2 Wで、300gの中型サイズのラットの脳にSARの最大値10W/ kg、脳平均SAR 4.8W/ kgが実現できる、と報告している。
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