[スウェーデンの全国入院患者登録およびスウェーデンのがん登録の異なる年齢グループにおける携帯電話、コードレス電話および脳腫瘍の発生率] tech./dosim.

Mobile phones, cordless phones and rates of brain tumors in different age groups in the Swedish National Inpatient Register and the Swedish Cancer Register during 1998-2015

掲載誌: PLoS One 2017; 12 (10): e0185461

この研究は、スウェーデンの入院患者登録(IPR)を用いて、1998-2015年におけるタイプ不明の脳腫瘍発生率を分析した。男女をあわせた10万人あたりの年間パーセント変化(APC)の平均(AAPC)は+2.06%(95%信頼区間(CI)= +1.27~+2.86)であった。2007年にjoinpoint[年変化率が統計的に有意に増加または減少した点]が認められ、1998-2007年のAPCは+0.16%、95% CI = -0.94~+1.28%、2007-2015年のAPCは+4.24%、95% CI = +2.87~+5.63%であった。最も高いAAPCは20-39歳の年齢グループで見られた。スウェーデンのがん登録では、年齢で規格化した10万人あたりの脳腫瘍発生率は1998-2015年に上昇し、AAPCは男性で+0.49%、95% CI = +0.05~+0.94%、女性で+0.33%、95% CI = -0.29~+0.45%であった。タイプ不明の脳腫瘍の症例には形態学的検査の所見がない。脳腫瘍診断は、1980年には男性の83%、女性の87%で細胞診断組織病理に基づいていた。2015年には、この頻度は男性で90%、女性で88%に増加した。同時期、CTおよびMRI画像撮影技術が導入され、形態学は必ずしも診断に必要ではなくなった。CTまたはMRIを用いた臨床診断に基づく全ての脳腫瘍がん登録に報告されていたとすれば、細胞診断組織学に基づく診断の頻度は減少していたはずである。この結果は、脳腫瘍症例ががん登録に過小報告されており、実際の発生率はもっと高いことを示している、と著者らは述べている。このため、がん登録に基づく発生率傾向は慎重に使用すべきである、と述べている。また、ワイヤレス電話の使用が発生率の変化と関連しているとみなすべきである、としている。

ばく露