長距離送電のための高圧直流(HVDC)線の建設の増加により、線下および線近傍に生じる静電界の潜在的な環境影響に対する公衆の懸念が高まっていることから、この系統的レビューの第二部では、静電界ばく露の環境影響評価の基礎を提示するため、無脊椎動物および植物の生物学的機能に対する影響を評価した。33編の研究(うち14編が無脊椎動物、19編が植物)をレビューに含めた。その結果、ばく露に対する昆虫およびプラナリアの行動学的応答についての報告は、無脊椎動物は静電界の存在を知覚できることを強く示唆していた。その他の多くの研究は、生理学的機能に対する影響(例えば代謝活性の変化、生殖および発達段階の遅れ)を報告していた。植物については、例えば葉の損傷、発芽率の変化、成長および収量、または必須元素の濃度の変化が報告されていた。但し、これらの生理学的応答および植物の形態学的変化は、静電界による表面の刺激の二次的なもの、あるいは静電環境の付随するパラメータによるもののようである。更に、レビュー対象の研究は全て、方法論的な欠点があり、結果の信頼性を低めていた。自然の発生源またはHVDC線から生じるレベル(35kV/m未満)では、入手可能なデータは、静電界が無脊椎動物における生物学的応答のトリガとなり得ることを示す信頼できる証拠を提示しているが、無脊椎動物および植物におけるその他の生物学的機能に対する静電界の悪影響についての証拠は提示していない、と著者らは結論付けている。より高いレベル(35kV/m超)では、おそらくコロナ作用によって、生理および形態への悪影響が生じる可能性が高そうである。生理学的機能および形態の変化に対する空気イオン、オゾン、一酸化窒素およびコロナ電流の役割を解明するため、より質の高い研究が必要である、と著者らは述べている。
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