多形神経膠芽腫(GBM)は最も悪性度の高い脳腫瘍であり、その死亡率は高い。テモゾロミド(TMZ)はGBMの治療に広く用いられているアルキル化剤であるが、これに対する薬剤耐性がしばしば認められる。この耐性を克服するための方法として、電磁界への付随的なばく露とTMZを用いた治療の可能性は、これまで探求されてこなかった。実際、電磁界ががん細胞および薬剤の効能に影響を及ぼすことを示す証拠は多い。このため、この研究では、2つのヒト神経膠腫細胞株(U87およびT98G)に対する、TMZ(100 μM)および電磁界(100 Hz、100 G)の潜在的な相乗効果を、それぞれの単独処理との比較で評価した。その結果、TMZと電磁界の同時処理は、P53、Baxおよびカスパーゼ-3の発現の上昇、ならびにBcl-2およびサイクリン-D1の発現の低下により、U87およびT98G細胞のアポトーシスを相乗的に強めた。また、対照群と比較して、活性酸素種(ROS)産出の増加およびヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)遺伝子の過剰発現が認められた。著者らは、電磁界はおそらく酸化還元制御機構を通じてTMZのアポトーシス作用を強めるので、TMZと電磁界の組合せは神経膠腫の治療に有効かも知れない、と結論付けている。
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