研究のタイプ: レビュー (医学/生物学の研究)

[ヒトおよび脊椎動物の静電界へのばく露の生物学的影響:系統的レビュー] review

Biological effects of exposure to static electric fields in humans and vertebrates: a systematic review

掲載誌: Environ Health 2017; 16: 41

この研究は、静電界生物学的影響を評価するための系統レビューを実施した。「系統レビュー及びメタ分析のための優先的報告項目(PRISMA)」を用いて、静電界ばく露生物学的影響に関する既存の実験研究および疫学研究(ヒトについて8編、脊椎動物について40編)を収集・評価した。その結果、ヒトおよび動物は、充分に高いレベルの静電界の存在を知覚することができるという良好な証拠が認められた。この知覚には、静電気力による毛の動きが重要な役割を担っているかも知れない。多くの研究が、広範な静電界強度に対する動物の反応(例:代謝免疫または発達のパラメータの変化)を報告しているが、これらの反応は、感覚刺激に対する二次的な生理学的反応のようである。更に、生理学的反応を報告している多くの研究の質は低く、交絡が懸念される。著者らは、文献レビューの証拠の重みからは、静電界がヒトまたは動物生物学的な悪影響を及ぼすことは示されなかった;証拠は、静電界の知覚、ならびに、報告されている間接的な行動学的および生理学的反応の根拠として、毛および皮膚の表面感覚の刺激が役割を担っているということを強く支持している;身体的な考察からも、身体内の生理学に対する静電界の間接的な影響は排除され、一部の生理学的プロセスについての報告は他の要因によって説明できる、と結論付けている。また著者らは、このレビュー静電界ばく露生物学的影響についての懸念を支持していないが、ヒトの知覚に対する閾値と、閾値を超えるレベルで生じ得る不快感についての調査が望ましい、としている。

影響評価項目

ばく露