研究のタイプ: リスクコミュニケーション/リスク認知の研究 (実際的研究)

[電磁界に関するコミュニケーションを改善するか?:メッセージの一貫化およびプレコーション有効性の説明の効果] risk

Improving precautionary communication in the EMF field? Effects of making messages consistent and explaining the effectiveness of precautions

掲載誌: Int J Environ Res Public Health 2016; 13 (10): 992-

この研究は、無線通信装置の使用に関して多くの関係機関が情報提供しているプレコーション的対策(通話中のヘッドセット使用など)などのプレコーション的メッセージの効用を検討した。以前に、プレコーション的メッセージが無線周波電磁界RF-EMFs)のリスク認知を図らずも上昇させてしまうという調査結果が示されている。今回の調査は、このような意図しない影響を最小化するために考え得る2つのプレコーション的メッセージ修正方法による影響をテストした。一つは、メッセージが一貫しないと受け止められ、そのために疑いが起きることのないよう、一貫性を強化する方法、二つ目は、プレコーションの有効性説明を強化する方法である。実験に用いたテキストは、(1) 基本(現在のばく露限度値の安全性の説明)、(2) プレコーション(個人によるばく露低減の方法の説明)、(3) 一貫性(プレコーション的対策伝達の背景にある動機の説明)、(4) 有効性(プレコーション的対策の有効性の説明)である。これらテキストの提示が異なる6群に、1717人のオーストラリア住民を無作為に割り当て(ほぼ同数の270-300人程度、男女比もほぼ同じ)、オンラインでの実験的調査を実施した。電磁界リスク認知の質問票への回答前のテキスト提示が、第1群は何も無し(情報無し群)、第2群はテキスト(1) (基本情報群)、第3群はテキスト(1)に続いて(2)(プレコーション群)、第4群はテキスト(1)、(2)に続いて(3)(一貫性群)、第5群はテキスト(1)、(2)に続いて(4)(有効性群)、第6群はテキスト(1)、(2)に続いて(3)、(4)(一貫性+有効性群)である。質問票では、3種類のリスク認知を測定した。1つは条件無しリスク認知(「通話時の電磁界を危険と思うか?」)、条件付きリスク認知は「プレコーション対策しない場合、および対策した場合に通話時の電磁界を危険と思うか?」の2つである。その結果、「プレコーション的メッセージがリスク認知を上昇させる」という先に報告された効果は再確認されなかった;一貫性によるメッセージ修正は効果がなかった;有効性による修正は、「プレコーション対策しない」という条件付きのリスク認知を上昇させた、と報告している。考察として、以前の「条件無しリスク認知」への効果の調査に比べ、今回導入した条件付きリスク認知という指標は、プレコーション的メッセージの効果を調べる上で有用に見える;ただし、リスク認知低減を目的として、一貫性および有効性の観点からプレコーション的メッセージを変更することはほとんど不可能であることが示されたと述べている。

リスク認知

影響評価項目

ばく露

調査対象集団

1717 Australian residents aged between 18 and 65 years completed the survey.