この総説論文は、低ばく露レベルの無線周波電磁界(RF-EMF)ばく露と細胞反応との間に何らかの統計学的な関連があるか否かについて、これまでに公表された実験データを系統的に分析した。細胞反応は細胞増殖とアポトーシスに絞り、さらに、分析の統計的検出力を上げるために、両者を「細胞寿命」にまとめた分析もした。分析対象論文(1995–2014年のPubMedデータベース中の「RF-EMFのイン・ビトロ研究」)ら抽出した実験パラメータ(およびランク)は、細胞の種類:初代培養細胞か株化細胞か、細胞反応の有無(「有り」:適切な対照との比較において、統計学的有意性(p < 0.05)の報告がある場合に限定)、周波数:0.5–1 GHz, 1–3 GHz, 3–10 GHz, >10 GHz、ばく露時間:急性(≤ 60分間)、長時間(1-24時間)、慢性(1日または数日。数日間にわたる断続ばく露も含む)、SAR:≤ 1 W/kg、1–2 W/kg、>2 W/kg、ばく露条件の品質クライテリア:擬似ばく露、適切なドシメトリ、ポジティブコントロール、ブラインド化した分析、温度制御の5項目(ランクは付けず)の実施数により、Q5、Q4、…、Q1などに分類。細胞反応の有無とばく露との関連性を、実験パラメータの観点から分析した。その結果、同定された論文104件から483件の実験を抽出、分析した;RF-EMFばく露後の細胞反応は、初代培養細胞よりむしろ株化細胞と有意に関連した;その他の実験パラメータはどれも細胞反応と有意な関連を示さなかった;ばく露条件品質と細胞反応の有無との間に、有意性が高い負の関連が検出された(つまり、品質クライテリア要件の満足度が高ければ高いほど、細胞反応検出の件数は少なくなった);私達(著者ら)の知る限り、具体的なRF-EMF生体影響についてばく露品質クライテリアとの関連で系統的分析を行った初めての論文であるが、この論文は、ばく露条件に関してより厳密な品質手順をとることの必要性を明確にした、と報告している。
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