この研究は、科学技術社会論(science, technology and society)およびグローバリゼーションに関する研究で重要なトピックである、「グローバル」な機関が、新技術に伴うリスクへの対処のための健康ガイドライン・安全基準を作成し、その施行を企画する方法について検討した、その事例として、WHO国際電磁界(EMF)プロジェクトの活動を研究した。EMFの国際安全基準・健康ガイドラインの設定における論争は、数十年間盛んに行われてきた。主流派の「規制科学」の立ち位置は、「EMFが重大な健康リスクを構成することはありそうもなく,したがって、最小限の規制的介入または意味のあるプレコーションの考慮が求められる」というものである。そうではあっても、少数だが粘り強い科学研究の一派は、重大な健康懸念を抱かせることを続けており、それがEMF基準・ガイドラインにもっと強いプレコーション的アプローチ構築を求める規制当局への請願を引き起こしている。WHO国際EMFプロジェクトは、強いプレコーション的アプローチを採用する国、国のEMF安全基準・健康ガイドラインの多様性を進展させている国などさまざまな国情へと至ったこの状況を解消しようと1996年に発足した。著者は、WHO国際EMFプロジェクトが,EMF科学、安全基準・ガイドラインのグローバルな調和という目的を達成するためにとった戦略は3つ(技術決定論に訴えること、健全な科学に向けて特注のモデルを開発すること、政策決定の場から彼らの反対者を排除するために科学と政策との境界を設けること)であると分析している。
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