[従来の電気穿孔パルス列のモデル化:穿孔数の減少、累積的カルシウム輸送および電気感受性化の一例] tech./dosim.

Modeling a conventional electroporation pulse train:decreased pore number, cumulative calcium transport and an example of electrosensitization

掲載誌: IEEE Trans Biomed Eng 2016; 63 (3): 571-580

この研究は、生物医学的研究および臨床応用(非熱的腫瘍アブレーションなど)としての電気穿孔(EP)に用いられるパルス列について計算モデルによる検討を行った。一定間隔で同一の電界パルスが連なるパルス列に対する1個の細胞モデルの応答をメッシュ状輸送ネットワークに基づいて計算した結果、予想に反して、振幅1kV/cm、パルス幅100μsのパルスを1Hzで20発与えた場合、膜の穿孔数が減少した(パルス列の開始時には13000個の穿孔が生成されるが、パルス列の終了までに15分の1の約830個に減少した)。同一のパルスが連続する間に穿孔数が大幅に減少するのは、穿孔された膜を通る溶質輸送の直接的結果であると結論された。一般に、EPの効果を増そうとしてパルス数の追加が行われるが、このような追加パルス細胞内へのカルシウム輸送を大きく増強しないことが示された。それに代えてパルス間隔を変動させるとカルシウム輸送を大きく増加することが示された(よく臨床で用いられる8パルス列の中途に300秒の中断を挿入することによりカルシウム輸送は2倍に増えた)。標準的なパルス列法に比べ、電気穿孔数を最大化してカルシウム輸送を増加させる(電気感受性化)のためのパルスプロトコルの存在がこのモデル計算により裏付けられた、と報告している。

ばく露