この研究は、疫学研究でのRF-EMFばく露評価に資するため、脳ばく露、全身ばく露での近傍界ばく露、遠方界ばく露を組合せた統合的ばく露指標を開発した。開発に利用したデータは、思春期に関するHERMES研究から得た。遠方界発生源の寄与は、電磁界伝搬モデルおよび個人の測定値を用いた多変量回帰モデルによりモデル化した。近傍界発生源の寄与は、質問票と携帯電話オペレータ記録の両者から評価した。その結果、1日当たりの累積ばく露量の平均値は、脳で1559.7mJ/kg、全身で339.9mJ/kgであった;脳のばく露量の98.4%は近傍界に由来した(GSM:93.1%、DECT:4.8%);全身のばく露量への寄与割合は、GSMでの通話が69.0%、WLAN接続したコンピュータ類の使用が12.2%、WLANを介した携帯電話のデータトラフィックが6.5%であった;携帯電話基地局からのばく露の全身ばく露量への寄与は1.8%、他者の携帯電話からのアップリンクばく露は3.6%であった;報告した統合的ばく露指標は疫学研究でのばく露評価に有用であるが、かなり大きな不確かさが残ってはいる、と報告している。
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