<目的>直流磁界と変動磁界を組み合わせることにより、カルシウム/カルモジュリンの相互作用が磁界影響を受けるというLednev仮説の検証を目的とした。<方法>MLCK活性化測定用の磁界曝露装置は、水平/垂直方向に磁界を発生するための2組のソレノイドコイルで構成される。その内1組は垂直方向の地磁気成分をキャンセルする。又、蛍光測定実験用として、蛍光光度計内に設置することが可能なコンパクトな2組のソレノイドコイルで構成される磁界曝露装置を用いた。MLCK活性化測定実験では、直流磁界(20μT)と14~19Hzの変動磁界(20.9μT)を組み合わせて曝露した。また、蛍光測定実験では、直流磁界(20.9μT)と6~18Hzの変動磁界(20.9μT)を組み合わせて曝露した。MLCK反応溶液中のカルシウム濃度を調節し、2~3種類のカルシウム濃度でのMLCKと合成基質(或いはミオシンL鎖)との反応速度を測定した。^32PでラベルしたATPを反応溶液に添加することで反応を開始させ、基質にとりこまれた^32Pを液体シンチュレーショウカウンタで測定した。更に、蛍光ラベルしたペプチドがカルシウム/カルモジュリン複合体に結合することによる蛍光を蛍光光度計で測定した。<結果および結論>MLCK反応溶液を20.9μT、14~19Hzの磁界に曝露したが、MLCK活性に影響は見られなかった。すなわち、カルシウム-カルモジュリン相互作用にLednevが主張するような電磁界影響はないと考えられる。また、カルシウム/カルモジュリン複合体に結合した蛍光ペプチドによる蛍光偏光度についても用いた磁界の影響は見られなかった。カルシウム-カルモジュリン相互作用よりもミオシンL鎖とカルシウムの相互作用への磁界影響の可能性がある。Lednevがウサギ製ミオシンL鎖を用いたのに対し、本研究では牛胎児製ミオシンL鎖を用いた点が相違する。
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