この研究は、低レベルEMF未来ネットワークに関するEUプロジェクト(LEXNET)の一環として行われた。著者等は、「どのようなEMFばく露の低減を実施しても、その効果は、ばく露に関する主観的な知識(ばく露認知)とリスク認知(RP)の主観的結びつきによって決まるのではないか」と考え、この両者の関係を調べるためのオンライン質問調査を欧州8ヵ国で実施した(2013年4-9月)。有効な回答数は3097であった(平均年齢33.7歳;男女比6:4;教育年数平均値16.7年;社会階層の自己申告の平均はミドルクラス;有職者56.9%;学生28.9%)。RPを調べる質問として、「9つのばく露発生源(携帯電話で通話する、屋上の携帯電話基地局など)は健康にどの程度危険と思うか(5段階)」、ばく露認知を調べる質問として、「潜在的健康リスクは、発生源の要因(ばく露期間、強度、距離、周波数、発生源数、構造物の大きさ、時刻)に依存すると思うか(各要因別に「強く思う」から「全く思わない」の5段階で回答)」を提示した。その結果、他の全ての発生源に比べ、携帯電話基地局へのRPが高かった;健康影響へのインパクト認知が高い(回答の平均が高い)要因は、ばく露期間、強度、距離、周波数、発生源数であり、低いものは、構造物の大きさ、時刻であった;調査参加者は適切なインパクトモデルを持っていたと著者は判断した;9つの発生源に対するRPの平均値をその人の総合RPとし、総合RP(従属変数)と健康影響へのばく露要因のインパクト認知(説明変数)を線形回帰分析した結果、健康影響へのばく露要因(距離を除く)のインパクト認知が総合RPに有意に影響していた(ただし、これらのばく露要因のインパクト認知では説明できない割合が約90%であり、今回の知見はアーチファクトである可能性もあると述べている)、と報告している。最後に、今回の調査標本は参加各国の一般人口代表性を有するとは言えないため、全人口に当てはめることはできないものの、ばく露認知とRPの関係の経験的モデルは支持されたとの考察を示している。
3097 residents of 8 European countries participated in the survey in 2013.
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