この研究は、電子商品監視装置(EAS)の近くで働くレジ係の中間周波(IF)への職業ばく露を調査した。併せて50Hzの電力周波数へのばく露も調べた。フィンランドの2都市(ヘルシンキとクオピオ)の、2軒の商店(レジ係の人数<15)、5軒のスーパーマーケット(同20-70人)、1つの図書館(同6人)、1軒の金物店(同8人)、1軒の大型電化製品デパート(同59人)、1つの郵便局(同4人)から31人のレジ係が質問票調査と磁界測定に参加した。これらの職場でのEAS機器は5-7.5 kHzで動作するが、AM型装置は58kHzであった。EASゲート周辺やレジ係の位置での磁束密度を、パルス磁界測定に適したSTUK-3メータで測定した。その結果、レジ係の椅子でのIF磁界密度のピーク値は0.2-4 μT、ELF磁界は0.03-4.5 μT であった;これらの値はばく露限度値を大きく下回る;しかし、EASゲート通過時には最大で189 μTとなり、ICNIRPのIF磁界の職業ばく露参考レベル(141 μT)を短時間ではあるが上回った;たとえ基本制限を超過しないとしても、これらの職業グループはIF電磁界の健康影響可能性に関する疫学調査の基になる集団であろう、と報告している。以上の結果を踏まえた議論として、IFの参考レベルの遵守には、ピーク値の広帯域測定とICNIRPの複数周波数の合算ルールの2つを用いて評価しなければならないが、複雑な波形の58 kHz信号を用いたEASシステムの場合、この2つによる値は大きく食い違い(10倍以上)、後者は必要以上に安全側に立っている、と述べている。
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