この研究は、細胞への磁界ばく露を顕微鏡のカバーガラス内でさらに限局化するばく露装置を開発した。カバーガラス上で生育する細胞への磁界ばく露のために倒立顕微鏡に取り付ける超低周波(ELF)磁界ばく露装置はこれまでに開発されているが、ばく露有りとばく露なしの比較は、別のカバーガラスに生育させた細胞の比較であったため、それぞれのカバーガラス上の細胞特性の違いが実験データに及ぼす影響は確認できないという不都合があった。その問題を克服するため、この研究では、円形カバーガラスの半円を磁気シールドケースで覆うことにより、同一の生育状態で、ばく露細胞と無ばく露の細胞を、同時に顕微鏡観察できる装置のプロトタイプを作成し、試験した。カバーガラスを均一にばく露するコイルの設計およびカバーガラス面の磁束密度プロファイルの測定方法とそれらの測定データを報告している。また、このプロトタイプでは、磁気シールド効果を高めるためケースの厚みを極力薄くしたため、ケース内のシールド効果の実験的確認はできていない。また、ケースの透明化ができていないため、ばく露後にケースを外して両半面の細胞を観察しなければならないなど残された課題や、別のアプローチとして、マイクロマシン技術を利用した微小ソレノイドによる細胞単位のばく露についても議論している。
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