この研究は、生体と同じ厚みと層構造をもつ人工皮膚EpiDermFT(MatTeK 社製)における遺伝子発現に対する強いテラヘルツ(THz)パルスの影響を調べた。THzパルスは、パルス幅が数ピコ秒、パルスの繰り返し周波数が1kHzの広帯域(0.2-2.5 THz)パルスで、1/e2 スポットサイズの直径1.5mmであり、入射エネルギーは1.0 μJ と0.1 μJ の2種類を用いた。比較のため、紫外線パルス(UVA:波長400 nm、パルス幅0.1 ピコ秒、0.024 mJ、1/e2 スポットサイズの直径2.7mm)のばく露も行った。皮膚標本をパルスビームの焦点の位置に置き、THzパルスには10分間、UVAには2分間ばく露した。ばく露の30分後に4つの皮膚標本(対照、1.0 μJ THz、0.1 μJ THz、UVA)のビームスポット部位(直径2mm)を切り出し、網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、THzパルスは、メラノーマ以外の皮膚がん、乾癬、アトピー性皮膚炎に関連する多くの遺伝子の発現レベルに影響した;影響を受けた遺伝子には、表皮分化複合体(EDC)遺伝子群の約半数が含まれていた;THzパルスばく露で発現が変化した遺伝子のほぼ全てにおいて、転写レベルでの誘導された変化は疾患関連の変化とは反対方向のものであった、と報告している。
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