この研究は、疫学研究が示す小児白血病と電力線近傍居住との関連の解釈について検討している。この関連を因果的に裏付ける要因の候補として、最も理解しやすいのは低周波磁界と考えられているが、これには実験研究やメカニズム研究による支持がない。そこで、著者は磁界に代わる説明仮説として、もし電力線近傍での住宅移動性が高ければ、「人口混交により白血病発生率が上昇する」というKinlenの学説と結びつくかも知れないと考えた。電力線近傍の住民は人口全体よりも高頻度で転居しているか否かを、選挙人登録を利用して分析した。その結果、送電線からの距離別の各地域の居住年数分布に有意差がなかった；都市部と郊外においても、この傾向に違いはなかった、と報告し、仮説が成立しなかったと述べている。
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