<目的>低周波磁界による人体内誘導電界・誘導電流の評価を行うこと。 <方法>適用した数値計算手法は、SPFD法(スカラーポテンシャル有限差分法)であり、これを適用する人体モデルとして、MRI画像などに基づく解剖学的詳細モデルを構築した。解像度は、3.6mmである。数値計算におけるパラメータとして、1)各臓器の導電率(従来の文献からの引用のものとGabrielらの実測によるもの)、および、2)磁界方向を考え、計算結果の比較を行った。磁界条件は、直交する3方向の一様磁界とし、60Hz、1μTを与えた。計算結果は、誘導電界(平均、最大)、誘導電流(平均、最大)および吸収電力密度(平均、最大)で表し、人体高さ方向の各層ごとおよび各臓器ごとの評価を行った。また、IRPAの暫定ガイドラインにおける換算式との比較を行った。 <結果>臓器の導電率の違いによる、誘導電界分布への影響はほとんどなかった。一方、誘導電流への影響については、導電率の違いを反映したものとなった。また、磁界方向の違いについては、人体を鎖交する面積が大きくなる、人体の腹から背の方向の磁界の場合の誘導電流が、他と比較して大きかった。各臓器ごとの検討では、導電率の大きい髄液における誘導電流密度が大きく、最大77.3μA/㎡、平均14.9μA/㎡であった。IRPAの暫定ガイドラインの換算式との比較においては、同換算式では0.5mTに対して10mA/㎡であるのに対し、本検討では、多くの臓器における誘導電流密度の最大値が、この値を上回る結果であり、IRPAの換算モデルは不適切であるとしている。
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