この研究は、携帯電話技術に問題を限定し、種々のプレコーショナリ情報がリスク認知に与える影響を調べた。5 × 2 × 2の要因配置での心理実験を9ヵ国で実施した結果を報告している。第1要因は、種々のプレコーショナリ措置に関する情報(4タイプ)とプレコーショナリ措置を含まない情報(1タイプ)、第2要因は、プレコーショナリ情報文書のフレーム2種類(安全という言葉を使用したフレームとリスクという言葉を使用したフレーム)、第3要因は、評価実験の順序(携帯電話、基地局の順列2通り)である。9ヵ国で合計3,902人の文科系大学生を被験者として、第1,2要因を組み合わせた刺激テキストを読ませた後、携帯電話および基地局に対するリスク認知の大きさ(7段階スコア)を回答させた。その結果、国レベルでのデータ分析は国により異なる影響を示した;作業仮説(プレコーショナリ措置を含む情報は含まない情報よりも高いリスク認知を起こす)は部分的に支持されたが、その影響は弱めであった(リスク認知のスコアは全体としてプレコーショナリ措置を含む情報の方が高くなったが、全てが有意ではなく、またその変化分は小さかった);その一方、施行されているプレコーショナリ措置について人々に情報提供することが人々の懸念を鎮静化するであろうという政策策定者が期待しがちなことは、今回の結果において支持されなかった、と報告している。
3,902 university social sciences and humanities students of nine countries (Australia, Brazil, Germany, India, Japan, the Netherlands, South Africa, the United Kingdom, and USA).
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