[コメント:電力線と成人のがん:長年の論争に決着?] comment

Commentary: Power Lines and Cancer in Adults: Settling a Long-standing Debate?

掲載誌: Epidemiology 2013; 24 (2): 191-192

Elliott 2013 (Epidemiology 24 184-190)に対するコメントである。論文でElliottらは十分に議論していないが、がん患者を対照とする特異な研究デザインは、この研究のもっとも大きな弱点と思われると指摘している。ある種類のがんを症例、他の種類のがんを対照として用いることは、「いくらかの懸念が表明されているが、関連についての証拠はほとんどなく、生物学的妥当性が弱い」がんを、「懸念の表明はないが、同様に、関連についての証拠はほとんどなく、生物学的妥当性が弱い」がんと比較するという状況になる。「懸念」により判断したため、例えば、乳がんは、かつてメラトニン仮説の観点からELF磁界の役割に関連していくらか注目されたという経緯から、最近の疫学リスク評価では関連の証拠はないと結論されたにも拘わらず、今回は症例グループに入れられ(乳がんは、EHFRAN D2レポートで、ELFカテゴリーで唯一影響なしに分類された成人がんである。)、それとは逆に、大腸がんは、この分野で注目されたことはなく、研究やデータがないことを考えて、対照グループに入れられた、ということになると述べ、「でも、実際は、症例および対照とした全てのがんは、IARCのヒトの発がんリスク評価のモノグラフにおけるELF磁界発がんの可能性に関して、正しく同一の「分類不能」のカテゴリー(グループ3)に入れられている」と指摘している。したがって、採用したアプローチは、ある種のがんには真の関連があるという仮説の下でも、関連がないという仮説の下でも、何を期待したらよいのか不明であり、“リスクの大きいギャンブル”である、と述べている。

ばく露

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