この研究は、磁覚を持った動物における磁覚器の構造と生理学を研究するため、マグネタイトを基本構造とした磁覚器細胞である可能性がある細胞を単離して、その特性を調べるための効果的手法を開発し、その適用例として単離した細胞の特性を調べた。細胞解離剤を用いて作成した細胞懸濁液を回転磁界中に置き、その挙動から磁気的物質を含む細胞を視覚的に同定する手法を開発したという。以前から磁覚器細胞の候補と示唆されているマスの嗅上皮を選択して、この手法を適用した結果、磁性をもつ細胞を再現性良く検出でき、その磁気ダイポールモーメントを測定できたと報告している。具体的には、そのモーメントの大きさは、従来の推定値を大きく上回った;その磁気は鉄分の多いクリスタルから成るμmサイズの細胞内構造物に由来した;共焦点反射率顕微鏡像では、それらは細胞膜近くに明るい部位として示された;磁性含有物は細胞膜に固定されており、in situで細胞内ダイポールに働く磁気トルクにより生じる機械的ストレスが直接伝達可能になっている、などの所見を報告している。最後に、今回の手法で磁気的に同定された細胞は、外部磁界の小さな変化を直ちに検出できる磁覚器としての物理的要件を明らかに満たしており、これまで家畜で報告されているような磁覚器と電力線のような交流磁界との干渉も説明されると思われる、と結論している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。