現在行われている携帯電話の安全性の証明には、SAM(Specific Anthropomorphic Mannequin)と呼ばれる人工的頭部モデルを利用しているが、SAMは1989年の米国新兵の上位10%のデータに基づいて作成されたものなので、典型的な携帯電話使用者、特に子供における比吸収率(SAR)を大幅に過小に見積もる。米国連邦通信委員会(FCC)は高度な計算機シミュレーションによる安全性証明プロセスを承認しているが、これを携帯電話の安全性証明には採用していない。米国では、FCCが最大ばく露許容値を決定する。多くの国々、特にEU加盟国は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP、非政府機関)の“ガイドライン”を用いている。SAMより小さな頭部における無線周波(RF)電磁界ばく露は、相対的に高めのSARを生じさせるであろう。また、SAMは頭部の平均的電気物性をもつ流動性物質からできているため、脳の特定の組織によって差のある吸収を示すことができないし、子供または身体の小さな成人における吸収も示すことができない。10歳の子供におけるSARはSAMモデルでのSARより最大で153%までの高値となる。電気物性を考慮すれば、子供の頭部での吸収は2倍以上大きくなり得るし、頭蓋の骨髄での吸収は成人の10倍の大きさになり得る。したがって、携帯電話の使用法、頭部の大きさ、組織の電気物性が異なる多様なモデルを取り入れた新しい証明プロセスが必要である。世界中のどこでも利用されている携帯電話の安全基準の改定においては解剖学を基本としたモデルが適用されるべきであり、基準は説明責任の果たせる独立的なグループが策定すべきである。
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