<目的>小児がんの罹病率と家庭電力消費量との相関の有無を明らかに する生態学的研究。<方法>カナダ8州の1971-1986年までの毎年の小児がんの罹病率を国の統計調査から各州毎に収集した。最大の州であるOntarioとQuebecはこの期間のデータが完全に得られず、バイアスの介入を除くため除外した。0-4,5-9,10-14才に分け、年齢と性別について1979年の人口によって標準化罹病率を割り出した。0-14才は8州で約200万人いた。それぞれの州の家庭での電力消費量はその年の戸数で割り、1962年から1986年まで国の統計調査から平均電力消費量を算出した。電力消費量が多い州は小児がんの罹病が多いかどうかを見るため、1971年から1986年までの毎年各州を1-8(8が最高)に順位付けし、16年間の順位の平均値を各州毎に得た。本方法は家庭電力消費量にも適用した。この両者の平均値間の相関係数を求めた。<結果>1)家庭当たりの電力消費量は、1962年の4.9megawatt/年から1986年の12.0megawatt/年まで増加した。2)全がんと脳腫瘍の有意な増加があったが、白血病に変化は見られなかった。脳腫瘍は最近の5年間は診断技術の進歩によると思われる増加を示したが、大部分の期間は変化がなかった。3)白血病並びに脳腫瘍については家庭電力消費量との間に、リンパ腫やその他のがんより高い相関関係が認められた。生態学的研究で全て言えることであるが、がんと診断sあれた子供が実際には平均よりも高い磁界に曝露されて来たかどうかは不明であり、因果関係を立証できるものではないが、今後の研究が必要であろうと著者は述べている。
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