【背景】ELF磁界がクロマチン(染色質)構造および細胞増殖に影響を与えることが先行研究によって示されている。またELF磁界の遺伝毒性および発がん作用の可能性も検証され、議論されている。【目的と方法】大腸菌E. coli GE499のクロマチン構造に対するELF磁界の影響を、異常粘性時間依存(AVTD)法により分析した。クロマチン構造への影響をもつことが示されている静磁界とELF磁界の特定の組み合わせにおけるELF磁界の遺伝毒性作用の可能性を、クローン原性アッセイ、細胞増殖動態、誘導性のrecA-lacZ融合およびガラクトシダーゼアッセイによるSOS応答の分析により調べた。遺伝毒性因子であるナリジクス酸(NAL)をポジティブコントロールとして、ELF磁界との組み合わせで用いた。【結果】NAL(3-30μg/ml)はAVTDのピークを低下させ、細胞毒性的影響を示した。NALとは対照的に、ELF磁界はAVTDのピークを上昇させ、細胞増殖を刺激し、クローニング効率を上昇させた。これらの影響は7-11Hz の範囲の周波数に依存していた。NALがSOS応答を誘導したのに対し、ELF磁界はrecA-lacZ融合を誘導しなかった。【結論】ELF磁界ばく露はNALの遺伝毒性作用を修飾しなかった。全体として、ELFはある特定のばく露条件下で、毒性因子としてではなく、細胞増殖刺激因子として作用することが示された。
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