[疫学研究の総体的とらえ方における携帯電話からの放射による三次元SAR分布の分析] tech./dosim.

Analysis of three-dimensional SAR distributions emitted by mobile phones in an epidemiological perspective

掲載誌: Bioelectromagnetics 2011; 32 (8): 634-643

【目的】ファントムモデルにおけるエネルギーの比吸収率SAR)の3次元分布を解析して、頭部に同じようなエネルギーの空間的蓄積を生じる携帯電話のクラスタを見つけること。【方法】電話機の外形的特徴、周波数帯、通信プロトコルにより、クラスタの特徴を記述した。物理的ファントムの左側および右側における、頬の位置および傾けた位置の電話機において、コンプライアンス測定システムを利用して測定した。携帯電話は、800、900、1500、1800 MHz帯で、PDC、CdmaOne、GSMおよび北欧の携帯技術(NMT)などの通信システムを用いたものを含めた。各電話機における測定値は、SAR値が最大値の半分以上の値となる半楕円体状のエリアに要約した。クラスタリングのアルゴリズムは、PAM法を用いた。相違点の尺度は楕円体の重なり度に基づき、ロバスト(堅牢)性分析にはマンハッタン距離を用いた。【結果】800MHz帯内、および900MHzと1800MHz帯の一部において、送受話器の形状(棒状の携帯電話機、上端および中央部にアンテナの付いた折りたたみ式携帯電話機)について弱いクラスタリングが得られたが、特定の位置関係(傾けた位置または頬の位置)においてのみであった。【結論】120機種を測定した結果、ファントムモデルにおけるSARの3次元分布は、携帯電話機の特定の外形特性または測定特性に関連するようには見えなかった。このことは、インターフォン研究など疫学的研究での脳内における無線周波エネルギーへのばく露の評価の精度の向上のために利用できるであろう。

ばく露