<目的>EPRIの委託により行った米国の5大電力従業員の疫学調査結果を考察して、従業員のグループ化の6つの方法について比較検討し、曝露ー疾病の関連が最も強いグループ化の方法を考察した。<方法>5つの電力会社の多数の職業を28種のカテゴリーに纏め、更に予備調査から得た経験と判断から三つの曝露レベルに分けた。職業、電力会社、職業+電力会社、曝露レベルなどによるグループ化と、更に算術平均または幾何平均された実測曝露値により、ANOVAモデルによってコントラストと精度が最適化されたグループ分けで、25th、50th、75th、87.5th%tileを任意に選び5つに区分する方法など、合わせて6通りのグループ化方法(表l)を用いた。脳腫瘍の死亡のリスクと累積曝露とをlog-linearと見て、ポワソン回帰により関連の強さを表す回帰係数β/SE(β)を連続スケールの下で検討した。<結果>ポワソン回帰の結果として、この6つのグループ化の方法の回帰係数の大きさと精度は、診断前の曝露のlagの期間を設けない場合は表4に、もっと診断時に近い2-10年以内の期間の曝露に限った場合の結果は表5に示した。いづれの場合も年齢、人種、歴年、社会経済的地位、仕事への従事の有無などで補正されたが、実測磁界の算術平均と幾何平均を使用した二つの最適化された仕事ー曝露マトリックス(Optimal AM JEM, Optimal GM JEM)に基づいた場合は最も大きな回帰係数が得られた。特に最も最近の曝露(診断前の2-10年間)のみを評価の対象とした表5に示すOptimal AM JEMの係数β/SE(β)は3.67と最高になった。この結果から著者たちは、既に発表した5大電力会社従業員の脳腫瘍による死亡率と磁界への累積曝露との関連についての疫学研究において推定した相対危険は、そのコホートと職業歴では妥当であったと結論している。
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