【背景】ここ数年、強磁界(3 T以上)の磁気共鳴画像法(MRI)の臨床および前臨床利用が著しく増加した。一方、MRI、特に強磁界MRI 環境において、高強度の静磁界、高速変化する傾斜磁界、強いRF電磁界による健康リスクの可能性が示唆されている。【目的】培養されたヒトリンパ球に対し3 Tの臨床用MRIスキャンが遺伝毒性を持つ可能性を、染色体異常(CA)、小核(MN)、単一細胞ゲル電気泳動の解析により調べること。【方法】MRIスキャン(臨床におけるルーチン的脳検査プロトコル:3チャネルヘッドコイル)中に発生する電磁界にヒトリンパ球を22、45、67、89分間ばく露させた。【結果】3 T MRIへのばく露後に、一重鎖DNA破断の頻度が有意に上昇することが観察された。さらに、CAとMNの両方の頻度もばく露時間に依存して上昇した。複合的な電磁界に0、22、45、67、89分間ばく露されたリンパ球におけるMNの頻度はそれぞれ9.67、11.67、14.67、18.00、20.33(細胞1000個当たり)であった。同様に、0、45、67、89分間ばく露されたリンパ球におけるCAの頻度は1.33、2.33、3.67、4.67(細胞200個当たり)であった。【結論】3 T MRIへのばく露はヒトリンパ球に遺伝毒性作用を誘導することが示唆された。
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