研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話ユーザにおける腰部石灰化の非対称性] epidem.

Asymmetries in hip mineralization in mobile cellular phone users

掲載誌: J Craniofac Surg 2011; 22 (2): 706-710

この研究は、少なくとも1年間、携帯電話を右側の腰部近くに保持していた健康成人男性ボランティア(n = 24)およびその対照として、その間、携帯電話を使用していない健康成人男性ボランティア(n = 24)それぞれの、左右の腰部の骨の石灰化を検査し、その違いを評価した。検査には、二重エネルギーX線吸収測定法(GE Lunar Prodigy)の二重大腿骨モードを適用した。左右の股関節の骨密度(BMD)と骨塩量(BMC)を比較した。その結果、両群間で、平均のBMDおよびBMCに差はなかった;非使用者群では、右大腿骨頸部のBMCがやや高かったが、携帯電話使用者群では左右差がなかった;ただし、両群間での左右差の大きさの違いは有意ではなかった;携帯電話使用者群では、BMDが右の大腿骨上部突起部(右転子)でやや低く、BMCが右転子および右股関節全体でやや低かった;線形回帰分析では、右腰に携帯電話を持っていた推定累積時間と左右の転子でのBMD差との間に相関関係が示された(r = 0.434; P = 0.034);総括すると、非使用者と携帯電話使用者において、右股関節と左股関節の二重エネルギーX線吸収測定値の非対称性が異なることが示された、と報告している。

ばく露

ばく露の詳細情報なし

研究の目的(著者による)

健康成人男性の携帯電話ユーザー及び非ユーザーの左右の臀部での骨の無機質化における違いを調べるため、アルゼンチンにおいて横断的研究を実施した。

詳細情報

多くの人々、特に男性はしばしば、携帯電話をベルトのポーチに入れて身体の側面に保持する。その間隔のため、反対側の臀部は携帯電話に近い側よりも低い量を受ける。本研究では、携帯電話を右側に保持する男性において、左右の臀部の骨塩密度及び骨塩量を比較した。自然に生じる左右差を考慮するため、携帯電話を使用したことがない対照群の男性を含めた。
二重エックス線吸収法を用いて、全股関節、大腿骨頸部、及び転子の骨塩密度及び骨塩量を測定することで、骨の無機質化を調査した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 48
その他:

非ユーザー24人、ユーザー24人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

携帯電話ユーザーは電話を平均で11.0時間/日、5.1年間保持していた。
全体として、2グループの骨塩密度及び骨塩量の平均に差は認められなかった。但し、非ユーザーではなく携帯電話ユーザーでは、右の転子の骨塩密度が有意に低く、
右の転子及び全股関節の骨塩量が有意に少なかった。携帯電話の累積使用時間または使用年数と、大腿骨頚部または全股関節の骨塩密度または骨塩量の左右差との相関は認められなかった。但し、携帯電話を右の臀部に保持していた累積時間の推定値と、転子の骨密度の左右差との有意な相関が認められた。
携帯電話ユーザーと非ユーザーにおける左右の臀部の二重エックス線吸収法による数値の非対称性の違いは、これらの機器が骨の無機質化に悪影響を及ぼすかも知れないことを示唆している。

研究助成

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