[前腕の廃用性骨減少症に対する電磁界の影響:無作為化、二重ブラインド化、擬似ばく露対照群による研究] med. app.

Electromagnetic effects on forearm disuse osteopenia: a randomized, double-blind, sham-controlled study

掲載誌: Bioelectromagnetics 2011; 32 (4): 273-282

【目的】前腕を一定期間使わなかったために生じた相当程度の骨減少症(廃用性骨減少症)が、一般的なパルス電磁界PEMF治療により軽減されるか否かを明らかにすることを目的とした、無作為化、二重ブラインド化、擬似ばく露対照群による研究の実行可能性と適切な用量を探索すること。【方法】ギブスによる固定が必要であった橈骨遠位端骨折または手根骨手術後の99人を無作為に4群(擬似ばく露群、1、2、4時間ばく露群)に分けた。ギブスを外した時(ベースライン:骨密度は減少し続けている)を開始時点として8週間の間、1日当たり1、2、4時間、前腕遠位部にPEMF変換器(真のばく露中または擬似ばく露中)を巻き付けた。ベースライン、8、16、24週間後の時点で、二重エネルギーX線吸収法(DXA)および末梢骨定量CT(pQCT)により前腕遠位部の骨塩密度(BMD)および骨形状を測定した。【結果】ギブスで固定されていた前腕において、ベースライン時点後の顕著な平均BMDの損失が全ての測定時点で観察された(遠位端で5-7%、橈骨体/尺骨体で3-4%)。しかし、年齢・性別・ベースラインBMD値を調整した後に行った、全検査に参加した被験者での解析(n=82、各群20人程度)およびITT解析(n=99;治療企図解析:脱落した被験者も全て含めた解析)において、DXAまたはpQCTによる骨損失に対し、真のPEMF治療は擬似治療に比べポジティブな効果があったことを示す証拠はなかった。PEMFばく露の有無に関わらず、血清中の骨特異的アルカリフォスファターゼ(BSAP)はベースライン時および8週間後において通常値であったのに対し、血清中のc末端コラーゲンテロペプチド(CTX-1)はベースライン時には著しく上昇していたが8週間後には下がっていた。【結論】廃用性骨減少症には相当程度の変動があるものの、今回の結果から、特定のPEMF波形および処置期間が廃用性骨量損失の持続に影響を与えることは示唆されなかった。

ばく露