【目的】携帯電話電磁界がヒトの脳および認知に与える影響を行動学的または神経生理学的測定により調べた、過去20年間の多数の研究の知見を、研究デザインおよびデータ分析に関して評価すること。【誘発研究】携帯電話が原因であると本人は信じている自覚症状に関する証拠は、誘発研究では見出されていない。このことは、電磁過敏症の人にそのような症状が起こることに心理学的理由があるかもしれないことを示している。【行動学的研究】以前の研究で、ばく露下で認知課題の成績が向上されることが報告されたが、これは多重比較したことにより偶然に生じたものらしい。より控え目な統計学的処理を用いた最近の行動学的研究および再現研究では、オリジナルの研究に比べ、顕著な影響は見られていない。【神経学的研究】神経生理学的研究では、蝸牛および脳幹の聴覚処理への顕著な影響は見られていないが、唯一、自発および誘発の脳電気活動に関して一貫しない結果が見出されている。一貫性のない知見は多重比較による擬陽性の可能性が考えられるので、再現実験が求められる。【その他】脳血流動態の反応の測定など有望な手法があるが、知見は数が少なく、まだ結論に達していない。この重要な研究分野における論争を収拾するために、多重比較と効果サイズを考慮した綿密な研究デザインおよびデータ分析が求められる。
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