この論文では、電力周波磁界ばく露による小児白血病のリスクの大きさが国際非電離放射線防護委員会のばく露ガイドラインが与える防護では対応できない場合、そのリスク管理に必要とされる追加的なプレコーショナリ措置について論じている。この分野の研究が示している科学的証拠を評価には「ヒルの基準」を用い、超低周波磁界ばく露が小児白血病発症リスクを高める可能性を示す証拠の強さを検討した。一方、プレコーションの適用可能性については、「プレコーショナリ原則」に関する欧州委員会(EC)の見解に示されたリスク管理の枠組みを基に検討した。この見解はプレコーショナリ措置について、均衡、無差別、既にとられている対策との一貫性、措置の実施の有無による費用便益の比較考量に基づくこと、新規の科学的知見に照らして見直すことが求められるとしている。証拠の評価結果については、「リスクの主な証拠は、いくつかの研究およびメタ分析での疫学的関連である。しかし高ばく露小児の数が少なく、その関連は選択バイアス、交絡、偶然の組み合わせに起因している可能性がある。また実験研究の証拠は限定的なものである」と述べている。プレコーションの適用可能性についての検討結果は、「小児白血病の病因は解明されていない部分が多い。プレコーショナリアプローチに立てば、ばく露低減のための低費用の対策は適切となる」、「但し、このような意思決定の多くは価値主導であり、科学的証拠の評価と違い主観的なものになる」と述べている。
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