研究のタイプ: レビュー/メタ分析 (医学/生物学の研究)

[携帯電話電磁界の心理作業タスクへの影響の系統的レビューおよびメタ分析] review

Systematic review and meta-analysis of psychomotor effects of mobile phone electromagnetic fields

掲載誌: Occup Environ Med 2010; 67 (10): 708-716

【目的】過去10年にわたって、携帯電話使用が行動に影響する可能性に関する懸念が増加している。本論文は、1999年以降に公表された、携帯電話電磁界がヒトの認知および作業タスク成績に及ぼす影響に関する研究に焦点を当てる。【方法】検索したデータベース:PubMed, Biomed, Medline, Biological Sciences, PsychInfo, PsycARTICLES, Environmental Sciences and Pollution Management, Neurosciences Abstracts, Web of Science professional databases。24件をメタ分析に採用した。いずれも、主要な調査項目として心理作業の測定結果が少なくとも1項目含まれていた。データ分析では、効果サイズとして標準化平均差(SMD)を用いた。【結果】ワーキングメモリタスク(2backタスク(2つ前に見た数字を答える)、3backタスク)および単純反応時間(SRT)タスクの3つのみは顕著な異質性を示した。しかし、感度分析により極端なSMDを示した研究を除外した結果、統計学有意性は消失した(各タスクについて、χ2(7)=1.63, p=0.20; χ2(6)=1.00, p=0.32; χ2(10)=14.04, p=0.17)。感度分析の後、研究費拠出者および出版のバイアスを評価した。メタ回帰分析により、混成の研究助成(産業界および公的資金/民間研究助成財団)を受けた2backタスクについてのみ顕著な影響が示された(b1/40.12, p<0.05)。漏斗プロットを行った結果、2つの認知タスク、SRTタスク(Begg順位相関r=0.443; Egger検定b= -0.652)と引き算タスク(Egger検定b= -0.687)について顕著な出版バイアスが明らかにされた。【結論】携帯電話のような電磁界は、認知および心理作業への影響を引き起こすようには見えない。しかし、研究費拠出者および出版のバイアスが存在したことから、公式の研究基準やガイドラインを作成するためにWHOの指導活動を促進すべきである。今後の研究が取り組むべきは、これまでなおざりにされていた重要な課題、例えば、反復的、強度で慢性的なばく露について、特に小児のように影響を受けやすい集団を調査することである。

影響評価項目

ばく露