この研究は、ギリシャ北西部に設定した調査地域における脳神経膠腫の疫学的および臨床的特徴(年齢、性別、腫瘍の位置、社会経済的状況)および潜在的な疾病素因(アルコール、タバコ、携帯電話の使用、重度の頭部外傷)を調査した。この前向き研究は、2005年6月1日から2007年5月31日までに、人口488,435人の調査地域の全ての病院7つから照会された神経膠腫患者を対象に実施された。発症率(IR)は、調査期間中の調査地域の居住者10万人に対する新規診断症例数として計算された。神経膠腫のリスクと喫煙、アルコール、携帯電話の使用、および重度の頭蓋外傷との関連の可能性を調べるために、症例対照研究を実施した。その結果、合計56の神経膠腫の新規症例が同定された;神経膠腫および神経膠芽腫(GBM)のIRはそれぞれ、5.73 / 105 /年および3.69 / 105 /年であった;GBMグループでは男性と女性の比率が1.25であった;男女とも、神経膠腫とGBMのIRは、60〜79歳群での高かった;最も出現頻度が高い解剖学的位置は前頭葉であった;患者の社会経済的状況は、46.5 %が低位、25 %が中位、28.5 %は高位階級に属した;神経膠腫とアルコール摂取、喫煙、携帯電話の使用との間に有意な関連はなかった;神経膠腫のリスクと重度の頭蓋外傷の病歴との間に正の関連性の傾向が観察されたが、この関連性は統計的に有意ではなかった、と報告している。
携帯電話使用は、1日当たりの通話に費やした分数に使用年数を乗じて推定した。
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 56 | - |
参加者 | 41 | 82 |
ギリシャ北西部における年齢で調整した神経膠腫の発生率は1万人あたり5.6人で、これは欧州、アジア及び米国の人口のデータよりも高い。
携帯電話使用と神経膠腫のリスクとの有意な関連は認められなかった(OR 1.00、0.99-1.01)。
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