【背景と目的】携帯電話からの無線周波数が脳に吸収されるということで、通常の携帯電話使用が聴神経鞘腫ANおよびその他の脳腫瘍のリスクを上昇させるかもしれないとの懸念が持ちあがった。本論文の目的は、携帯電話使用とANリスクに関する文献を批判的に評価して、関連の可能性を明らかにするために今後必要な研究を提案することである。【方法】PubMed検索により、携帯電話使用に関するANリスクを研究した10編の症例対照研究と1件のコホート研究、携帯電話の長期使用とANおよび他の脳腫瘍との関連性を調査したメタ分析を同定し、レビューした。【結果】ほとんどの研究は関連性を見出さなかったが、10年以上の使用について研究したいくつかの論文は関連性を示した。10編の症例対照研究におけるオッズ比は、0.5(95%信頼区間:0.2-1.0)から4.2(1.8-10.0)の範囲であった。ビジネス用使用を除外したデンマークのコホート研究で、関連性は示されなかった。3編の症例対照研究を含めたメタ分析では、10年以上の携帯電話使用者である対象者において、同側に発症したANのリスクが2.4倍であった。一般的に、後ろ向き研究は、想起バイアスと誤分類が原因となって携帯電話のばく露評価の能力には限界がある。【結論】ANリスク要因を評価することは、潜在期間が長いので難しい。いくつかの長期使用の研究は同側ANのリスク上昇を見出した。携帯電話使用データの取得に前向きアプローチを用いること、独立のばく露評価法として請求書記録をさかのぼって取得すること、質問紙から得られる他の重要な潜在的リスク要因に関する情報を組み込むことなどにより、研究の性能は著しく向上する可能性がある。
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