【目的】過去10年の間に、携帯電話普及率は世界の多くの国でほぼ100%に達した。疫学研究により蓄積された健康影響の可能性に関する証拠は、その適切な解釈およびリスク推定値の低下あるいは上昇に関係するバイアスや交絡因子の大きさについて論争を起こした。【データ源】ピアレビュー文献の中から33編の疫学研究が同定され、その大半(25編)は脳腫瘍に関するものであった。ふたつの研究グループが、10年以上の携帯電話使用に関するデータを収集している。一つはスウェーデンのHardellグループ、もう一つはインターホングループである。【データ合成】これらの研究の結合オッズ比は、神経膠腫、聴神経鞘腫、髄膜腫についてそれぞれ、1.5(95%信頼区間:1.2-1.8)、1.3(0.95-1.9)、1.1(0.8-1.4)であった。【結論】方法論的検討の結果、リスク上昇の結果を得た疫学研究は、次の3つの重要な条件を満たさないことが明らかになった。(1)ばく露指標に基づいた証拠がない;(2)携帯電話使用の観察期間が余りに短い;(3)病因仮説がないため、腫瘍の種類を区別した証拠を得ることは不可能である。リスク推定において、選択バイアス、誤分類バイアス、疾患が携帯電話使用に与える影響などは推定値を減少させ、想起バイアスは見かけ上のリスク上昇を導く可能性が高い。全体的証拠リスク上昇を支持しているが、長期使用に関する情報が不十分なため、現時点でこのリスク上昇の大きさを評価することはできない。
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